19.キオビエダシャクの多発と一生…


イヌマキのメス株には猿のキンタマと呼ばれる
赤い果実(左)と白緑の種子(右)が結実する



キオビエダシャクの成虫

 最近はマスコミ等でキオビエダシャクについて、紹介されるようになりました。それはキオビエダシャクの多発が予想されているからです。
 このキオビエダシャクの成虫は、当協会の子どもエコクラブでも評判の高いガ類のひとつです。
 なにしろ黄色の帯をまとったキオビエダシャクは、ヒョウモンチョウに負けないほど派手な文様をしていて、だれでもが簡単に覚えることが出来からでしょう。

 ところが、人々の中には、キオビエダシャクの文様の紺色と、黄色のコントラストが、いかにも毒々しいとの理由で嫌う人もいるようです。
 さてキオビエダシャクの、都城地方の発生状況についてですが、昔から本市よりも三股町、日南市での発生が多かったと言う人がいます。
 これはキオビエダシャクの食害樹の「イヌマキ」の植栽面積に関係があると言われています。この事は、日南地区はミカン園が多く防風林用に、イヌマキが利用されている事からも理解出来ます。

 キオビエダシャクの成虫は四月〜十二月までに一世代を約二ヶ月として四〜五回出現します。
 なお幼虫の発生は五〜六月、七〜八月、九〜十月、十一〜十二月に現れてイヌマキを食害します。産卵場所は主にイヌマキの粗皮の間隙を利用しますが、産卵して十日後にはふ化します。
 ふ化した幼虫は一ヶ月かけてイヌマキの葉を食害して、地面に浅く潜り蛹になります。
蛹から十五日間を経過すると成虫になります。そして二週間程度生存しますが、その間は、交尾と花密を吸うために、各種の花を訪花します。